~企業年金一筋40年の経験を活かして~
DCアドバイザー資格は、前々職時代に代行返上+DC導入のプロジェクトがあり、人事部と企業年金基金が担当する際に、担当者2人で専門資格が必要だろうということになり、DCアドバイザーとDCプランナーを分担して受験しました。それ以来なので20年以上、ビジネス上の肩書となっています。50歳を超え独立し、個人事業主としての登録は「DCアドバイザー」です。
現在は、40年間の企業年金一筋の経験を活かして、企業サイド、特に担当者目線での各社制度にとって土台となるような地道な仕事を心がけています。具体的には、DC協会でのセミナーや研修での講師や資料提供、企業年金連合会でのDC担当としての研修講師や企業からの相談受付とコンサルティング、DC広研(一般社団法人確定拠出年金・調査広報研究所)での制度運営調査や企業における加入者アンケート、継続投資教育のサポートなどです。その際に、一番重要なのは、正しい情報、知識と現場にどのように伝えるか、DCにおいては最終的に加入者個人の人生設計に大きくかかわりますので、いい加減な、というか、不十分なアウトプットを厳に慎むようにしています。
企業年金の仕事は国語、算数、社会の感性が大切と思っています。信託銀行での新人時代の上司の影響が大きいと感じています。当時は、厚生年金基金や適格年金でしたが、数理計算を支店所属の数理人が電卓と算盤でやっており、本部数理課のコンピュータ結果とあまり変わらないことに驚き、考え方を教えてもらい、自分でも、収支計算や企業年金導入後の財務効果のシミュレーションを電卓でやっていたころが懐かしいです。あほう学部と言われていた法学部出身ですが、社会人生活40年の後半の仕事では法律に関わることが多くなったのも不思議です。
生まれ育った三河地方:愛知県知立市(豊田、刈谷、安城の真ん中にあります)で、父がトヨタ自動車関連(正しくはアイシン精機、トヨタ車体)の下請け町工場(両親だけの)で、ものつくりをする姿を小さいことから見ており、工作や絵画が好きでした。
企業年金の仕事では、各社に訪問しては、人事部の中に入って「一緒に制度を作る」ことを、信託銀行の新人時代から担当しており、「少しでも良いもの(退職給付制度、企業年金制度)」をつくる仕事です。三河のものつくりことに通じるように感じています。仕事というよりは趣味の延長を楽しんでいるのかもしれません。実はDB制度を愛しています。現在はDCの仕事がメインとなっていますが、「企業年金愛を感じますよ」と、DC協会のみなさんに言って頂けることが、今生の幸せです。
今まさに新たな法改正の全貌を待ちワクワクしているところです。思えば、DCスタート時の姿は、当初、全く新しい企業年金法が世に出ると思っていたものとは異なる点があり、モヤモヤしながら制度運営や加入者セミナーを企画・実施していました。数回の法改正を経て、モヤモヤはかなり解消されましたが、想定していなかった仕組みになった点もあります。
DCアドバイザーとしての今後の活動では、法改正による改善点を活かすことで各社のDC制度がより良いものとなるよう、今できる最善な提案(アドバイス)を企業に対して行っていきたいです。そのため、自己に厳しく、常に精進をモットーとして参ります。
DC協会がDC加入者と接する機会はありませんが、DCアドバイザーという専門家を通じて、金融経済教育の普及や金融リテラシーの向上という面でDC加入者一人ひとりに対して担っている役割があると思います。そのためにDCアドバイザー、個々人のレベルアップが欠かせません。その人材育成に関して、DC協会は、DC法が成立し、DC協会が発足されたスタート時から、同じポリシーで活動を続いてきていると感じています。
今や、日本でも資産運用で自身の資産を作っていく時代です。その中で、企業型DCの役割はますます大きくなっています。DC協会が提供していくサービス(研修コンテンツや情報配信)においても、資産運用業界ではない中立的な立場での拡充を求めたいと思います。
また、今後DCに関する相談はますます増えていくと予想されます。その際、DC制度をきちんと理解したDCアドバイザーこそが求められるのではないでしょうか。
(2025年3月18日実施)