道券 克則さん
夫婦で実践する「豊かな老後資金のつくり方」

― セミナー「あなたにもできる一億円入門」から10年、いま伝えたいこと ―

doukenさん写真
Q 現在のお仕事を教えてください

現在69歳。税理士法人にて中小企業の経営計画・資金繰り・再生支援に携わると同時に、後進の育成にも注力。 金融商品仲介業者としても活動し、DC制度やNISAを活用した老後資金形成をサポート。現在の預かり資産残高は約35億円。
「DC制度の支援者は、NISAも活用して老後設計を総合的に支援すべきだと思います。」

Q DC制度導入支援はどのような支援ですか?<

税理士法人の顧問先を中心に、福利厚生の一環としてDC制度導入をアドバイスしています。 特に人材確保の手段として評価されており、現在は「選択型DC」が主流。
この流れは良いとは思いませんが、2027年からのiDeCo拠出限度額の引き上げで情勢が変わると予想しています。

Q 投資教育はどのような活動をされていますか。

導入後の継続的な投資教育にも関わっており、現在はオンラインでの実施も増加。 導入時教育は運営管理機関が担当していますが、「教育内容には課題がある」と思います。

Q 今後のDC制度への期待

『山登りを教えるセミナー』は多いが、『山下りを教えるセミナー』は少ない。
山下りのイラスト

「制度に自分の人生を合わせるのではなく、自分の人生に制度を合わせる」
その一つが、年金の受給の仕方です(山下りです)。
 たとえば、社会保障制度など、取り分け公的年金制度・DC制度・NISA制度などでご自身の老後設計を考える際に、あなたは草野球チームの監督だとします。チームには4人のピッチャーがいます。それぞれのピッチャーは「1.就労」「2.公的年金」「3.DC」「4.NISA」としましょうか。65回の表(65歳)をむかえて、ゲームも仕切り直しです。さて、この後だれを先発ピッチャーとして投げさせ、その後どのような継投策を考えて、さらにどのピッチャーを抑えに持ってくるかを考えなくてはなりません。人それぞれで、決して同じような展開の野球の試合なんて絶対にありません。 しかし、世の中の老後に関するセミナーは、同じような試合運びがまるであるかのような想定です。まるで、「制度に自分の人生を合わせろ!」と言っているかのようです。

例を挙げれば、 ・「DCは一括受給のほうが"退職控除"が使えてお得!」・「公的年金は、〇〇歳から貰った方がお得」とか
・特にひどいのは、「210万円の壁には要注意!」
このように、「制度に自分の人生を合わせなさい」という言動が一般化しています。はなはだ無責任ですし、「行動ファイナンス理論」の餌食となっているかのようです。

次に、私のDCの受け取りです。
私のころはまだ60歳までしか拠出ができなかった時代でしたので約300万円の拠出金が評価額で900万円を超えた頃に受け取りを開始しました。DCは中継ぎです。66歳から70歳までの受給予定です。
 NRKでは、例えば年6回の分割受給の場合には、最終受給月は2月になるように受け取りを開始しなくてはならないのです。NRKでは受給期間中の運用収益は最終支払い月に一気に受給しなくてはなりません。2月に受け取れば、雑所得額は前年並みかそれ以下となります(その後、その年に公的年金の受給を開始しないという前提で)。翌年の医療保険料などにそれほど影響を与えないのです。
次の継投はNISAの定時定額取り崩しを考えています。

受け取りの図

その後は、抑えの公的年金です。72歳~73歳からの受け取りを考えています。先発ピッチャーは"就労"、そして"DC"を中継ぎに、そしてNISAで繋いで、抑えの切り札はやっぱり"公的年金"という継投ですね。妻の年金受取方法ともマッチさせて、夫婦でベストな受け取り方法を組み立てることがポイントです。

そして、もう一つ大切なポイントが、  夫婦の場合、一般的には女性が人生の最後を一人で迎える可能性が高いことです。
 そこで私は、妻が一人になっても生活に困らないよう、遺族年金と自身の年金(基礎年金を75歳まで繰り下げて184%で受給)を組み合わせ、月25万円程度を生涯受け取れるように設計しています。
 この金額が確保できれば、日常生活はもちろん、いざというときの施設入所にも十分対応できると考えています。

今、自分がみなさんに伝えてきたこと、「分割受給の優位性」と「インフレ」が正しかったと実感しています。 (2025年9月実施 一部略しています。全文はDC協会会報誌にてお読みいただけます。)

道券 克則(どうけん かつのり)
一般社団法人 日本経営管理協会 副理事長
一級ファイナンシャル・プランニング技能士 / CFPR / DCアドバイザー